
若手医師のための家庭医療学冬期セミナー
一ノ瀬英史(麻生飯塚病院 総合診療科)
- レジデントノート2014年5月号掲載
- 所属はレジデントノート掲載当時のものです
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毎年2〜3月に,全国の熱い若手プライマリ・ケア医が集まるイベントがある.若手医師のための家庭医療学冬期セミナーというセミナーで,2014年2月で第9回目を迎えた.今回は,このセミナーについて紹介する.

日本全国で開催されている種々のセミナーを弁当に例えるならば,シャケ弁やから揚げ弁当などと表現することができ,ある部分に特化したセミナーであると言える.このセミナーは,さながらプライマリ・ケアの幕の内弁当もしくはデラックス弁当(筆者の独断と偏見だが)と表現でき,いろんなコンテンツをバランスよく配し,定番は押さえ,この弁当を食べれば間違いはないといえる.規模にして300人程度の参加者で白熱するこのセミナーは,ここ数回東京大学本郷キャンパスで行われてきた.2〜3月のどこかの土日に,主に卒後10年目くらいまでの若手医師を対象に企画され,ビックな講師による全体講演と選りすぐりの選択制ワークショップ(以下,WS)などの各種企画で構成されている.このセミナーに参加する利点を2つあげたい.
プライマリ・ケアに関する明日から使える知識をGet!
WS① | ・地域ヘルスプロモーション ・家族志向のケア ・QC入門 ・ポケットエコー ・EBM ・多職種連携 ・振り返りの手法 ・ピルのすべて |
WS② | ・初めての往診 ・在宅リハビリテーション ・模擬外来 ・ポートフォリオ ・CBME ・老年医学 ・マイナーエマージェンシー ・緩和ケア |
WS③ | ・臨床研究 ・リーダーシップ ・循環器 ・臨床診断 ・決断の共有 ・骨折の診療 ・BPSモデル ・感染症 |
CBME:Community Based Medical Education
BPSモデル:Bio-Psycho-Social モデル
第9回のWSは全部で24.そのなかから3つを選択して受講することができ,各WSのキーワードをざっと並べると表のようになる.
医学的知識(多岐にわたる)や技術的なもの,学問的なものや指導医に必要なスキルを学ぶものなど,よりどりみどりのラインナップである.
同じ志をもった若手医師との交流が一気に拡がる!
このセミナーは全国から若手医師が集まるため,全国に仲間をつくっていくまたとないチャンスである.人と人との繋がりはとても重要で,診療の場面においてもプライマリ・ケア活動をしていくうえでも大切な糧となっていく.
さらに第9回はWONCA(世界家庭医機構)の会長であるMichael Kidd先生に全体講演で登壇いただき,日本の若手医師に熱いメッセージが送られた.われわれにとって非常に貴重な時間となった.
第10回の予定はまだ計画中であるが,ぜひ楽しみにしてほしい.詳細は日本プライマリ・ケア連合学会ホームページに掲載される.