病院総合医の活動と魅力 森川 暢(東京城東病院 総合内科) レジデントノート2016年4月号掲載 [SHARE] ツイート 病院総合医とは,その名の通り病院を中心に働くジェネラリストの総称ですが明確な定義はありません.今回は病院総合医についてレポートします. 病院総合医の現状 米国ではホスピタリストという内科病棟管理のスペシャリストが活躍しています.日本でも,総合内科や総合診療科として病院で臓器横断的に診療する医師が徐々に増加しています.急性期内科病棟管理をベースとして救急,外来,集中治療と幅広い分野の診療を担っていますが,病院によって働き方が異なるのが現状です.そのため,病院総合医同士の交流・情報交換が必要と考え,「病院中心のジェネラリスト 研修プログラムリスト」および「病院総合医チーム」の活動を日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会で行っています. 病院中心のジェネラリスト 研修プログラムリスト 2010年6月に「病院中心のジェネラリスト」をめざす医学生,若手医師に対し,「病院中心のジェネラリスト 研修プログラムリスト」を発足しました.現場からの活きた情報を発信すること,そして全国で頑張る仲間を見つけ,交流するためのネットワークをつくることを目的にしています.日本全国の病院から掲載をしていただき,現在38の研修先を紹介しています. ブログ:http://hospitalistprogram.blogspot.jp/2015/10/blog-post_5.html 病院総合医チーム 家庭医×病院総合医のコラボレーション企画 日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会では,『クルー100人プロジェクト』の名のもとに若手医師が生き生きと活動できるプラットフォームを提供し,数チームに分かれて活動しています.その一環として,「病院総合医チーム」を結成しました.全国の若手の病院総合医が集まり,定期的にネット会議を行うことで,全国の病院総合医の施設を超えた交流が進んでいます.また診療所などで働く家庭医の先生方との交流も積極的に行っています.先日,日本プライマリ・ケア連合学会の「80大学行脚プロジェクト」の一環として,病院総合医と家庭医のコラボレーション企画も行い,連携を推し進めています. 病院総合医の魅力 内科を中心に幅広く診断および治療ができるため,どんな病院に行ってもその病院のニーズに応えることができるところが最大の特徴だと思います.すばやく適切な診断をし,最新のエビデンスに基づいた医療を提供し,さらに患者さんの社会背景にも気を配ることができる.これは病院総合医特有の能力であり,やりがいだと思います.皆様にも病院総合医に興味をもってもらえれば幸いです.