大病院で働く総合内科医の仕事 長野広之(天理よろづ相談所病院 総合内科) レジデントノート2016年12月号掲載 [SHARE] ツイート 私が働いているのは奈良県東和医療圏に属する27科815床の総合病院です.私は内科ローテイターコースの後期研修を終え,今年より総合内科医師として働いています(写真 左端,前から2番目が筆者).本稿では大病院での総合内科医の仕事内容の一例を紹介します. 病棟・外来での仕事 入院では高齢者複合疾患,膠原病・腎疾患,診断困難症例を担当しています.総合内科は病院や地域から求められる医療を行うことが1つの役割と考えています.当院の総合内科は当初は膠原病,腎臓内科をカバーすることが求められていましたが,徐々に高齢者複合疾患,診断困難症例の対応が求められ,専門性を担保しながら診断能力や多数の併存疾患があるなかでのマネージメント能力を上げていく必要性が出てきました.これらの能力を維持・向上させるため,日々精進しています.また週1回の外来では高血圧,脂質異常症,糖尿病といったcommon diseaseから膠原病,診断困難症例まで幅広く診療しています.また科を越えた横断的なマネージメントを得意とするのも総合内科の特徴です.私はInfection Control Team(ICT)に所属し,院内の感染対策や感染症教育にも従事しています. 在宅医療や研修医教育も総合内科医の仕事 天理よろづ相談所病院 総合内科 当院は大病院では珍しく在宅医療を行っています.私も病院の在宅部門にも属しており週1〜2回の在宅診療を行っています.外来・入院だけではわからない患者さんの生活をみることで自分の視野が広がり,普段の病院での診療にも役立っていると実感しています. 同時に院内で求められる仕事として研修医教育があげられます.どの科に進む医師にも身につけてほしい内科のコアコンピテンシーとは何かを日々考え研修医の期待に応えられるよう研鑽しています.教育を通じて学ぶことも非常に多い日々です. 総合内科の魅力 総合内科(総合診療)の魅力は,診療範囲に枠をつくらず横断的に診ることができ,地域や社会背景などの個々のニーズに応じた医療が提供できることだと思っています.超高齢社会で複合疾患をかかえた患者さんが多くなるなか,総合内科医が活躍できる範囲は広がっています.とてもやりがいのある仕事ですので,一緒に切磋琢磨できる仲間が全国に増えるのを楽しみにしています.