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翻訳途上で機能する新生ポリペプチド鎖

Nascent polypeptides that function during translation
千葉志信,田口英樹
Shinobu Chiba1)/Hideki Taguchi2):Faculty of Life Sciences and Institute of Protein Dynamics, Kyoto Sangyo University1)/Cell Biology Center, Tokyo Institute of Technology2)(京都産業大学生命科学部・タンパク質動態研究所1)/東京工業大学細胞制御工学研究センター2)
10.18958/6455-00001-0001175-00

タンパク質は,その合成が完了し,成熟した後に生理機能を発揮するものばかりではない.翻訳途上のポリペプチド鎖(新生鎖)の状態で細胞の機能調節に積極的に関与するタンパク質が,真核生物,原核生物の両方で,近年になっていくつも報告された.これらは,新生鎖による翻訳制御という共通のメカニズムを基盤としつつも,多様な生理機能を発揮する.本稿では,翻訳途上で機能する新生ポリペプチド鎖の概念,分子機構,生理機能をいくつかの例を解説することで紹介する.非典型的な翻訳動態を追究していくことが「知られざるタンパク質」の世界をさらに開拓し,また応用へとつながる可能性についても議論する.

機能性新生鎖,翻訳アレスト,IRD,翻訳終結機構,非典型的翻訳

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