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ネオ抗原を標的とする新たながん免疫療法

A novel cancer immunotherapy using neoantigen as a target of tumor immunity
西村泰治
Yasuharu Nishimura:Department of Immunogenetics, Graduate School of Medical Sciences, Kumamoto University, Kumamoto(熊本大学 大学院生命科学研究部 免疫識別学分野)
10.18958/6435-00001-0001215-00

ゲノム解析技術の革新により,がん細胞におけるnsSNV,Indel,遺伝子融合やRNAスプライシング変異,ほかの遺伝子異常に起因するネオ抗原とよばれる多数の分子群の同定が容易となった.ネオ抗原は個々のがんに固有であり,一般に多様ながんに共通することは希である.患者のHLA(human histocompatibility leukocyte antigen)によって抗原提示されるネオ抗原に由来するペプチドは,T細胞による抗腫瘍免疫の誘導に重要な役割を担っている.さらにネオ抗原を標的とするがんワクチン(能動免疫)療法や,これと免疫チェックポイント阻害療法などとの併用療法が開発されつつあり,個々の患者に固有かつ複合的ながん免疫療法の開発に注目が集まっている.

腫瘍免疫,ネオ抗原(neoantigen),HLA,抗原提示,がん免疫療法

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