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グリア瘢痕の形成メカニズムと再生

Regeneration of the injured central nervous system based on the glial biology
岡田誠司
Seiji Okada:Division of Pathophysiology, Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University(九州大学生体防御医学研究所病態生理学分野)
10.18958/6421-00001-0001225-00

近年,中枢神経外傷に対する細胞移植療法など新しい治療法が提唱されているが,こうした治療で有効性が確認されているのは瘢痕(はんこん)が形成される前の急性期から亜急性期が中心である.いったん瘢痕が形成されてしまえば,たとえ幹細胞などを移植し神経細胞を補充できたとしても,あるいは薬剤などにより神経軸索の伸張反応を促進させても,生着細胞や伸張軸索とホストの神経回路は瘢痕により断絶されているために機能的な回復はわずかである.これまで慢性期における中枢神経再生研究はハードルが高いため,急性期の治療研究と比較すると,その質においても数においても微々たるものであった.本稿で紹介するような中枢神経外傷後の瘢痕形成メカニズムの解明を通じて,最終的には慢性期の中枢神経再生研究の気運が高まることを期待したい.

アストロサイト,グリア瘢痕,脊髄損傷,マクロファージ

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