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脳損傷の修復における自然免疫と獲得免疫

Innate and acquired immunity in the sterile inflammation after stroke
伊藤美菜子,駒井恭子,吉村昭彦
Minako Ito/Kyoko Komai/Akihiko Yoshimura:Department of Microbiology and Immunology, Keio University School of Medicine(慶應義塾大学医学部微生物学免疫学教室)
10.18958/6421-00001-0001224-00

挫傷や虚血によって脳組織が壊死に陥ると,1〜3日という急性期にマクロファージや好中球などの炎症細胞が脳内に浸潤する.特に,ごく初期に浸潤したマクロファージは,壊死した臓器からさまざまな死細胞由来の成分(damage-associated molecular patterns:DAMPs)を認識しIL-1β,TNF-α,IL-23などの炎症性サイトカインを産生して炎症を促進する.さらにマクロファージは3日目以降DAMPsを処理し,炎症を収束させる修復性マクロファージに転換する.これによっていったん炎症は治まったようにみえるが,7日目以降に獲得免疫が発動し,大量のT細胞が梗塞部位に集積する.しかしこの時のCD4陽性T細胞においては制御性T細胞(Treg)が半数を占め,脳Tregとよぶべき性質を獲得して炎症を抑え,アストロサイトの過剰な活性化を制御していることが見出された.

脳梗塞,虚血,ペルオキシロドキシン,マクロファージ,組織常在性Treg,アストロサイト,アストログリオーシス

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