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軸索再生阻害因子を標的とする神経回路修復治療薬の開発

Development of drug that targets axon growth inhibitors and facilitates neuronal rewiring
山下俊英
Toshihide Yamashita:Department of Molecular Neuroscience, Department of Neuro-Medical Science, Graduate School of Medicine, Osaka University(大阪大学大学院医学系研究科分子神経科学,創薬神経科学)
10.18958/6421-00001-0001228-00

さまざまな中枢神経疾患病態において,神経回路が障害され神経症状が出現する.破壊された神経回路の修復は困難と言われているが,その原因の一つとして,神経回路の再生を抑制する機能をもつ軸索再生阻害因子とよばれる膜タンパク質の存在があげられる.これらのタンパク質は,神経細胞の周りをとり巻くオリゴデンドロサイトやアストロサイト,ミクログリアなどに発現し,損傷された神経回路の再生を阻止し,機能回復を阻む.軸索再生阻害因子の一つであるRGM(repulsive guidance molecule)は,免疫制御や細胞死の惹起にも働くなど多様な機能を有している.特に脊髄損傷や脳卒中,多発性硬化症の発症と病態の増悪にかかわっていることが示唆されており,新しい分子標的として注目され,複数の製薬企業が創薬を進めている.本総説では,RGMの機能と臨床応用の可能性について概説する.

軸索再生阻害因子,神経再生,RGM,炎症,創薬

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