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ショウジョウバエから見えてきた新たな細胞老化制御機構

Novel mechanisms of cellular senescence emerged from Drosophila
井藤喬夫,井垣達吏
Takao Ito/Tatsushi Igaki:Laboratory of Genetics, Graduate School of Biostudies, Kyoto University(京都大学大学院 生命科学研究科システム機能学分野)
10.18958/6397-00001-0001245-00

細胞老化は,細胞周期の不可逆的な停止を特徴とするがん制御に重要な現象である.われわれは,ショウジョウバエを用いて腫瘍悪性化メカニズムを解析する過程で,細胞老化現象がショウジョウバエの上皮組織においても存在することを見出した.このショウジョウバエ細胞老化は,がん遺伝子Rasによりトリガーされ,ミトコンドリア機能障害によって細胞老化のステージが成熟するという,新たなメカニズムを示すものであった.さらにわれわれは最近,ショウジョウバエにおいてRasシグナルの下流で機能する細胞老化誘導のマスター遺伝子ともいうべき転写因子を明らかにした.本稿では,ショウジョウバエ遺伝学から見えてきた細胞老化制御の新たなメカニズムについて概説する.

JNK,Hippo経路,ETS,ショウジョウバエ

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