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細胞老化による発がん制御

Senescence and tumorigenesis
太田 翔,山田泰広
Sho Ohta/Yasuhiro Yamada:Division of Stem Cell Pathology, Center for Experimental Medicine and Systems Biology, The Institute of Medical Science, The University of Tokyo(東京大学医科学研究所システム疾患モデル研究センター先進病態モデル研究分野)
10.18958/6397-00001-0001240-00

細胞老化は発がんの初期において細胞自律的な発がん抑制メカニズムとして機能していると広く考えられている.しかし近年,老化した細胞が細胞非自律的に発がん過程のさまざまな局面で重要な役割を果たしていることが明らかとなってきた.特に,加齢に伴って生体に蓄積される老化細胞が,SASP因子とよばれる液性因子の分泌を介してがんの発症や悪性化に寄与することが知られるようになった.本稿では,発がんと細胞老化との関連を概説し,さらに,細胞老化ならびに老化細胞の維持を司る分子メカニズムを標的としたがん治療の可能性と課題について考察する.

SASP,OIS(がん遺伝子誘導性細胞老化),TIS(therapy-induced senescence)

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