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ショウジョウバエが切り開くシン・がん悪液質研究

Drosophila as a new model for tumor-host interactions
岡田守弘
Morihiro Okada:RIKEN Center for Biosystems Dynamics Research, Laboratory for Homeodynamics1)/RIKEN Cluster for Pioneering Research, Physiological Genetics Laboratory2)(理化学研究所生命機能科学研究センター動的恒常性研究チーム1)/理化学研究所開拓研究本部Yoo生理遺伝学研究室2)
10.18958/7427-00001-0001353-00

がんのように大きなストレスにさらされると,なぜ個体は生体恒常性を維持できずに,生理状態が悪化して,最終的に死亡してしまうのだろうか? がん自体に関する知見の蓄積とは対照的に,がんに起因する全身への作用であるがん悪液質の根底にある分子機構の全容は不明なままである.筆者は個体レベルの解析に適したショウジョウバエをモデルとし,がん悪液質の複雑な全身症状の分子機構をシンプルに理解して,ヒトを含む生物に保存された共通原理を発見すべく研究に取り組んでおり,本稿ではその最新知見を紹介したい.

がん悪液質,ネトリン,カルニチン,臓器連関因子

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