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がん患者における病的代謝・免疫変化の俯瞰

Systemic alteration of the immune and metabolic macroenvironment in cancer patients
中村有輝,小西理予,河岡慎平
Yuki Nakamura1)2)/Riyo Konishi1)/Shinpei Kawaoka1)3):Inter-Organ Communication Research Team, Institute for Life and Medical Sciences, Kyoto University1)/Department of Breast Surgery, Kyoto University Graduate School of Medicine2)/Department of Integrative Bioanalytics, Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University 3)(京都大学医生物学研究所臓器連関研究チーム1)/京都大学大学院医学研究科乳腺外科学2)/東北大学加齢医学研究所生体情報解析分野 3)
10.18958/7427-00001-0001356-00

現行のがん悪液質の定義や診断の基準には,代謝系や免疫系の変容は含まれない.がんに起因する代謝系・免疫系変容に関する私たちの理解の多くが動物実験の結果に基づいており,ヒトに関する理解がまだ追いついていないのである.本稿では,進行がん患者を対象とした最新の研究を概観し,がん悪液質(旧来の定義)が顕在化する前に,アミノ酸代謝の異常や免疫系の抑制といった変容がみられることを紹介する.がんは,治療に適さない宿主マクロ環境をつくり出しているのかもしれない.これらを広くがん悪液質と捉え,早期に介入することを提案したい.

がん,免疫抑制,代謝,サイトカイン,マルチオミクス

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