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ナノポアシークエンサーによる薬剤耐性菌ゲノムの解析

Genome analysis of antimicrobial resistant bacteria by nanopore sequencing
鈴木仁人,矢原耕史,平林亜希,柴山恵吾
Masato Suzuki/Koji Yahara/Aki Hirabayashi/Keigo Shibayama:AMR Research Center, National Institute of Infectious Diseases(国立感染症研究所薬剤耐性研究センター)
10.18958/5527-00001-0001465-00

近年,ナノポアシークエンサーによる1分子長鎖(ロングリード)型シークエンシング技術の革新により,超長鎖DNA配列(~1 Mbp)の解読,RNA配列の直接解読,メチル化などの修飾塩基の検出などが可能になってきた.これらの技術は,細菌の染色体やプラスミドを含む完全配列の解析に加え,新たなmRNA発現解析(mRNAや16S rRNAのDirect RNA-Seqなど),新たなエピジェネティクス解析(メチル化RNAの検出など)により未知の生命現象を明らかにする可能性を秘めている.なかでも携帯性に優れたOxford Nanopore technologies(ONT)社のMinIONにおいては,もはや研究を行う場所に制限はなく,2017年8月20日にわが国でも批准がはじまった名古屋議定書発効後の地域固有の遺伝資源に依存した国際共同研究において新たな方法論を構築することが可能である.本稿では,既存のシークエンサープラットフォームの特徴を説明したうえで,MinIONを用いて主に薬剤耐性菌を材料として行われている研究例を紹介したい.

長鎖型シークエンサー,薬剤耐性菌,薬剤耐性(AMR),プラスミド,ゲノム疫学

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