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【スマホで読める実験医学】ヒトにおける異所性脂肪蓄積の制御
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肝臓や骨格筋における異所性脂肪蓄積は,インスリン抵抗性の原因の一つであることが示唆されている.異所性脂肪蓄積はそれぞれの臓器に特有の経路があると考えられる.共通している経路として,脂肪細胞からの遊離脂肪酸(FFA)放出がある.体重増加の過程において大型化した脂肪細胞が,それ以上拡張することができず,脂肪組織に貯めきれない脂肪がFFAとして放出された結果,骨格筋や肝臓に異所性脂肪として蓄積しインスリン抵抗性を惹起する可能性が示されてきた.その一方で,われわれの検討などから,非肥満者でも運動不足,高脂肪食,低アディポネクチン血症などが直接肝臓や骨格筋に脂質を蓄積させ,インスリン抵抗性を惹起する要因となっている可能性が明らかとなってきた.また,持久的な運動選手では,骨格筋細胞内脂質が蓄積しているがインスリン感受性が保たれていることが示されており(アスリートパラドックス),そのメカニズムが明らかとなりつつある.これらの研究により,アジア人で非肥満であっても代謝血管障害を生じる根本的な原因が明らかとなることが期待される.
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