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エピゲノム制御に基づいた炎症性発がん機構の理解

The critical role of epigenetic regulation in inflammation-associated cancer
田口純平,山田泰広
Jumpei Taguchi1)2)/Yasuhiro Yamada1)3):Division of Stem Cell Pathology, Center for Experimental Medicine and Systems Biology, Institute of Medical Science, The University of Tokyo1)/ Department of Life Science Frontiers, Center for iPS Cell Research and Application (CiRA),Kyoto University2)/AMED-CREST3)〔東京大学医科学研究所システム疾患モデル研究センター先進病態モデル研究分野1)/京都大学iPS細胞研究所(CiRA)未来生命科学開拓部門2)/AMED-CREST3)
10.18958/6269-00001-0001598-00

炎症反応は異物や傷害された細胞の除去を主体とする恒常性維持機構である.しかし一方で,多くのがん組織において慢性炎症が頻繁に認められ,発がん過程への関与が示唆されている.次世代シークエンサー技術等の発展により,がん細胞には特定の遺伝子配列異常に加え,DNAメチル化やクロマチン状態に代表されるエピゲノム制御の異常が多数認められることが明らかとなってきた.さらに近年では,炎症反応によって誘発されるエピゲノム制御の変化ががんの発生・進展に深く関与することが明らかとなりつつある.本稿では,炎症反応によるエピゲノム制御の変化が発がん過程におよぼす影響について最新の知見を踏まえて紹介したい.

炎症反応,エピゲノム制御,発がん,脱分化

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