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腸内エコロジーを支える生物間代謝経路

Symbiotic metabolism secures intestinal ecology
山田恭央,長谷耕二
Takahiro Yamada /Koji Hase:Division of Biochemistry, Graduate School of Pharmaceutical Science, Keio University(慶應義塾大学大学院・薬学研究科・生化学講座)
10.18958/6269-00001-0001596-00

われわれの腸内には宿主の細胞を上回る数の常在微生物群が生息し,1つのエコロジー(生態系)を構築している.健常な腸内細菌叢は消化補助や免疫系の成熟促進など宿主に多大な利益をもたらすが,腸内細菌の侵入や構成異常は炎症性腸疾患をはじめとする疾患の増悪因子となる.そのためわれわれの体は,腸内エコロジーを制御するための多様な機構を備えている.本稿では,宿主と腸内細菌の相互作用による健常な腸内エコロジーの維持とその破綻による炎症性腸疾患の発症について,最新の知見をもとに考察する.

腸内細菌,短鎖脂肪酸,ムチン,酸素,生物間代謝経路

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