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脳における免疫情報の記憶とその人為的刺激による炎症性疾患の誘発機構

Immunological memory in the brain: artificial disease induction via its neural signaling
村上 薫,北條慎太郎,村上正晃
Kaoru Murakami1)/Shintaro Hojyo1)2)/Masaaki Murakami1)〜3):Division of Molecular Psychoneuroimmunology, Institute for Genetic Medicine, Hokkaido University1)/ Quantum Immunology Team, Institute for Quantum Life Sciences, National Institute for Quantum and Radiological Science and Technology2)/ Division of Molecular Neuroimmunology, Department of Homeostatic Regulation, National Institute for Physiological Sciences3)(北海道大学遺伝子病制御研究所分子神経免疫学分野1)/量子科学技術研究開発機構量子生命科学研究所量子免疫学研究チーム2)/生理学研究所生体機能調節研究領域分子神経免疫研究部門3)
10.18958/7539-00001-0001717-00

免疫細胞を体内で制御することはさまざまな炎症が関連する病気,病態を制御することと同義であり,それらによって自己免疫疾患,感染症,神経変性疾患,がんなどの疾病を改善へと導くことができる.テクニオン-イスラエル工科大学ラパポート医学部免疫学講座のHilla Azulay-Debby博士とAsya Rolls博士はこれまでの研究を通じて,脳の神経回路,例えば報酬系の人為的な活性化が抗腫瘍免疫を調節すること,さらには島皮質の神経細胞への免疫関連情報の記憶による免疫の制御機構を複数のがんモデルマウスと腹膜炎モデルマウスを通じて明らかにした.本稿では,彼女らの助言を受け,主に脳の特定神経野への免疫関連情報の記憶による炎症性疾患の制御機構を解説する.

神経回路,InsCtx,DREADD,ZIPモデルマウス,DSSモデルマウス

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