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神経回路によるバリア恒常性:髄膜免疫における侵害受容器の役割

Barrier homeostasis by neural circuits; Role of nociceptors in meningeal immunity
山﨑剛士,Isaac M. Chiu
Takeshi Yamasaki1)/Isaac M. Chiu2):Division of Molecular Neuroimmunology, Department of Homeostatic Regulation, National Institute for Physiological Sciences1)/Department of Immunology, Blavatnik Institute, Harvard Medical School2)(生理学研究所生体機能調節研究領域分子神経免疫研究部門1)/ハーバード大学医科大学院ブラヴァトニク研究所免疫学部門2)
10.18958/7539-00001-0001716-00

感覚神経回路は全身に分布しており,組織や疾患の状態に応じて,痛みを含む恒常性の変化を受容体(侵害受容器)などを介して感知し,脳に伝え,フィードバックとしてその変化を調節する.脳の表面を覆う髄膜にも痛みや頭痛を媒介する侵害受容器が分布しているが1)2),侵害受容器と免疫細胞間のシグナル伝達が髄膜の免疫応答にどのような影響を及ぼすかは不明であった.われわれは,病原性細菌が髄膜の侵害受容器を刺激して神経ペプチドの一種CGRPの放出を促進すること,CGRPが髄膜マクロファージ上のRAMP1を介して炎症性サイトカイン・ケモカインの発現を抑制し,引き続く好中球の遊走や硬膜での免疫反応を抑制して,細菌性髄膜炎の病態を悪化させることを報告した3).本稿では,この新たな「神経-微生物-免疫連関」を概説する.

侵害受容器,細菌性髄膜炎,カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP),髄膜マクロファージ

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