スマホで読める実験医学
550円

食欲を生み出すしくみ:エネルギー恒常性と嗜好性

Neural mechanism that generates appetite: energy homeostasis and food preference
中島健一朗
Ken-ichiro Nakajima:Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya University1)/Department of Homeostatic Regulation, National Institute for Physiological Sciences, National Institutes of Natural Scicences2)(名古屋大学大学院生命農学研究科1)/自然科学研究機構生理学研究所生体機能調節研究領域2)
10.18958/7175-00001-0000313-00

摂食は動物の生存に最重要な本能行動の1つである.脳は食欲を生み出すうえで中心的な役割を担い,その破綻は過食や拒食など健康に大きな影響を及ぼす.摂食の特徴は全身のエネルギーを一定に保つシステム(恒常性の摂食)と食の美味しさを追求するシステム(嗜好性の摂食)に分類できる点である.また,これらの性質は食物の機能という点から見ると,生体が「栄養」や「味や匂いなどの感覚成分」を摂取または感知するしくみと言える.本稿では摂食促進の複雑な神経ネットワークのうち,代表的なしくみと今後の課題を紹介する.

食欲,視床下部,栄養,嗜好性

この記事は有料記事です

(残り約8,700文字)

  • 【スマホで読める実験医学】食欲を生み出すしくみ:エネルギー恒常性と嗜好性
    550円