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水分摂取制御の脳内メカニズム

Control mechanisms for water intake
松田隆志,野田昌晴
Takashi Matsuda/Masaharu Noda:Homeostatic Mechanism Research Unit, Institute of Innovative Research, Tokyo Institute of Technology(東京工業大学科学技術創成研究院生体恒常性研究ユニット)
10.18958/7175-00001-0000310-00

水の摂取行動の制御は,生命の維持に必須であるため,ほとんどの動物種に基本的な脳神経機能として生得的に備わっている.脳のなかでも例外的に血液-脳関門が欠損している感覚性脳室周囲器官(sCVOs)において,体液状態は常に監視されており,その情報に基づいて,脳は「喉が渇いた」という感覚(水分欲求)をつくり出している.加えて,水を摂取した刺激は末梢器官から複数の経路で中枢にフィードバックされ,段階的に水分欲求を抑制することによって,適切な水分量の摂取を実現している.本稿では,われわれ自身の研究成果を交えながら,脳が司る水分欲求の「誘導」と「抑制」のメカニズムについて概説する.

感覚性脳室周囲器官(sCVOs),水分欲求,ナトリウムイオン(Na),アンジオテンシンⅡ(Ang Ⅱ)

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