スマホで読める実験医学
550円

[座談会]悩める今だからこそ海外に目を向けよう!アメリカ研究留学のメリット・デメリット

五十嵐 啓(カリフォルニア大学アーバイン校)
中田大介(ベイラー医科大学)
安田 圭(Pyxis Oncology)
安田涼平(マックス・プランク フロリダ神経科学研究所)
山田かおり(イリノイ大学シカゴ校)
山本慎也(ベイラー医科大学・テキサス小児病院)
10.18958/7195-00026-0000443-00

昨年夏,労働法の影響から,日本の研究所や大学で少なくない数の任期付き研究者が解雇されるリスクにさらされていることがNature誌やScience誌においてeditorialとして報じられました.その後に雇用機関の方針転換などもありましたが,このニュースをきっかけに将来に関する不安や現在の待遇への不満を抱く研究者・学生が日本に多く存在することを再認識するようになりました.
本連載は,先行きの見通せない現状を打破したいと考える日本の読者に向け,ポスドク・スタッフサイエンティスト・テクニシャン・PhDコースの大学院生などとして海外に出ることを選択肢の一つとして提示することを目的としています.海外で研究をすることにはチャンス・リスク,メリット・デメリットがあり,どのような立場で留学をするのかによって様々なパターン(基礎研究者のポスドク留学,医師のポスドク留学,学位取得のための留学,テクニシャン・スタッフサイエンティストとしての短期・長期就労)が考えられます.いずれにも共通することは,海外で研究をするということはどういうことなのか(特に日本との違いなど),留学先はどうやって探せばよいのか,インタビュー対策はどのようにすべきなのか,渡航準備や生活の立ち上げはどのように行えばいいのか,留学後の仕事や人間関係がうまく行っていないときは誰に相談しどのようなことをするべきなのか,仕事がうまく行っている場合はキャリアアップやキャリアチェンジ(アカデミア・インダストリー含む)に関してどのように考え,具体的な対策をとるべきなのか,などの様々な疑問がつきまとうことです.それらのすべてに答えを提供することは困難ですが,今回の連載では留学先のなかでも特にアメリカを取り上げ,特に基礎研究者のポスドクとしての研究留学,大学院留学や,テクニシャン・スタッフサイエンティストとしての海外就労(大学院留学の前段階としてのテクニシャン職も含む)に焦点を当て,海外で活躍されている先生方の知見を伺い,アメリカで研究職につくことを検討する読者に有用な最新の情報を提供できればと考えています.
まず連載第一回の座談会ではこれら話題を各パネリストの視点を交える形で取り上げ,連載全体へのイントロダクションに位置づけました.連載の第二回目以降ではそのいくつかをより深く掘り下げた記事を掲載していきます.
(山本慎也,中田大介)

この記事は有料記事です

(残り約14,000文字)

  • 【スマホで読める実験医学】[座談会]悩める今だからこそ海外に目を向けよう! アメリカ研究留学のメリット・デメリット
    550円