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生殖・発生・周産期における正常と異常のエピジェネティクス

Epigenetics in normal and abnormal reproduction, development and perinatal period
秦 健一郎
Kenichiro Hata:Department of Maternal-Fetal Biology, National Research Institute for Child Health and Development(国立成育医療研究センター研究所周産期病態研究部)
10.18958/6571-00001-0000895-00

遺伝子の配列変化を伴わずに機能を変化させ,細胞分裂を経ても安定してその情報が伝わる「エピジェネティクス」は,胎児と胎盤の発生・分化に必須であることが知られている.実際にさまざまな生殖・発生異常や妊娠合併症で,エピジェネティクスの異常が報告されている.またエピジェネティクスは,環境の影響を受けて変化することが知られている.その結果,胎児期や乳幼児期の不適切な環境の影響が長期遺残し,成人期の疾患素因となる可能性が示されている.このような背景から,生殖補助医療による医原性のエピジェネティクス異常を懸念する報告もあるが,現在のところ積極的にこれを支持する証拠には乏しい.

エピジェネティクス,DOHaD(developmental origin of health and disease)学説,DNAメチル化,エピトランスクリプトーム

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