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老化による精子の変化と発達障害発症リスク

Age-induced alteration in sperm and risk of neurodevelopmental disorders
舘花美沙子,木村龍一,大隅典子
Misako Tatehana/Ryuichi Kimura/Noriko Osumi:Department of Developmental Neuroscience, Tohoku University Graduate School of Medicine(東北大学大学院医学系研究科発生発達神経科学分野)
10.18958/6571-00001-0000896-00

近年,自閉スペクトラム症患者が増加しており,その生物学的原因の一つとして父親の高齢があげられている.胚や胎児期の母体環境だけではなく,生殖細胞の状態が子どもの精神疾患発症リスクに寄与するという報告が増えており,とくに,卵子と比べ多くの細胞分裂を経てつくられる精子は,加齢によるゲノムの変異やエピゲノム修飾の変化が起きやすい.これまでに,de novoのゲノムの変異が子どもの精神疾患の発症リスクに寄与することが報告されているが,近年はDNAメチル化の変化と子どもの疾患の関連も明らかになりつつあり,これまで解明されていなかった疾患の発症メカニズムの理解に向けて研究が進んでいる.その他にも,加齢により精子で変化するエピゲノム修飾がいくつも報告されている.このような,生殖細胞のもつ疾患発症リスクが実際に疾患を引き起こす分子メカニズムやその相互作用の解明は,新たな治療法・予防法の開発にもつながると期待される.

自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder,ASD),父加齢,精子エピゲノム変化,DNAメチル化,ヒストン修飾

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