マスト細胞は従来アレルギー反応において中心的な役割を担っている細胞とされてきた.しかし最近になって,多発性硬化症,関節リウマチ,がんや血圧調節等にも関与することが報告されるなど,マスト細胞の新たな機能が次々と発見されている.特にエネルギー代謝におけるマスト細胞の働きは興味深く,これまでに,食餌誘導性肥満や糖尿病にマスト細胞が関与することが報告されている(Liu J, et al:Nature Medicine, 15:940-945, 2009).肥満のヒトやマウスの白色脂肪組織(WAT)には,痩せ型のWATよりも多くのマスト細胞が含まれているが,マスト細胞をもたないマウスに特定のサイトカイン欠損マスト細胞を移入する実験により,マスト細胞がインターフェロンγ,インターロイキン6等を放出し,脂肪組織中での血管新生や脂肪細胞の増殖を促すことで,食餌誘導性肥満と耐糖能異常を促進することが示された.
そして今回新たに, .....