脊椎動物において,RNAポリメラーゼⅢ(PolⅢ)は,5S rRNA,tRNA,U6 snRNAなどの必須RNA遺伝子群の転写を担うが,コアプロモーターの構造(Type 1, 2, 3)や関与する基本転写因子は,遺伝子ごとに異なることが知られている1).基本転写因子TFⅢBとしては,Brf1/Bdp1/TBP複合体およびBrf2/Bdp1/TBP複合体の2種類が存在し,それぞれType 1と2,Type 3プロモーターの転写に関与する.Type 3プロモーターを有する遺伝子は14個存在し,tRNAの中では酸化還元反応に関与するセレノプロテインの産生に必要なtRNA遺伝子(TRNAU1)のみがこのクラスに含まれる.PolⅢ転写の異常と腫瘍形成は密接に関連するとされており,近年Brf2の過剰発現が肺がんや乳がんの原因となる可能性なども指摘されていることから2)3),Brf2の分子機能の解明はきわめて重要と考えられる.
最近Vanniniらは,
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