9番染色体q21にコードされているCDKN2A(p16)は,神経膠芽腫やすい臓がんなどの多くの固形がんにおいて,最も高頻度にホモ欠損するがん抑制遺伝子である.CDKN2Aの近傍には,メチルチオアデノシンホスホリラーゼ(MTAP)がコードされているため,このMTAPも同時に「巻き込まれて」ホモ欠損することが古くから報告されていた.MTAPは,メチオニン代謝物であるS-アデノシルメチオニン(SAM)がポリアミン合成に利用される際に産生されるメチルチオアデノシン(MTA)の分解によるメチオニンサルベージ経路を担う.一方で,SAMは,生体内のメチル化反応に利用された後,ホモシステインに代謝され,葉酸代謝から供与されるメチル基が付与されてメチオニンに再びリサイクルされる(メチオニン回路).
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