胎生期の血球細胞の分布を見ると,原始赤血球とともに組織マクロファージが胎児(仔)全体に幅広く存在していることが知られている.脳・脊髄に局在する組織マクロファージであるミクログリアや,皮膚の表皮中に局在するランゲルハンス細胞の一部など,さまざまな組織に局在する組織マクロファージが胎生初期の卵黄嚢ミエロイド前駆細胞に由来することが報告されている(実験医学2015年6月号News & Hot Paper Digest参照).興味深いことに,組織マクロファージは貪食細胞や炎症細胞としての役割に加えて,組織の発生や再構築に何らかの機能を果たしていることが示唆されている.今回,バージニア大学のEomとParichyは,ゼブラフィッシュの縞模様形成において,マクロファージが色素胞(色素細胞)の配置を制御するしくみを報告した(Eom DS & Parichy DM:Science, 355:1317-1320, 2017).そのしくみは,マクロファージがまさに郵便配達人のごとく,相離れた色素胞をつなげるのである.
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