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飛躍的に効果増大!新型樹状細胞ワクチン

ハーバード大学 柏木 哲

状細胞(dendritic cells,DC)は,抗原特異的にT細胞を強力に活性化する免疫応答の主力細胞である.血中の単球や骨髄細胞を顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)で分化誘導した樹状細胞(GMDCと総称)が強力な抗原提示細胞となるという知見(Sallusto F & Lanzavecchia A:J Exp Med, 179:1109-1118, 1994)に基づき,GMDCをがん抗原で刺激したものは,投与後がん抗原特異的T細胞を刺激し,活性化されたT細胞はがんを攻撃するであろうことから,がんワクチンとして機能することが期待されていた.実際,この理論に基づき米国デンドレオン社が開発した前立腺がん治療用ワクチンであるシプリューセル-T(Sipuleucel-T)は患者から採取した単球より樹状細胞を作製したもので,アメリカ食品医薬品局(FDA)に認可もされている.しかし,その後同様の手法を使った樹状細胞ワクチンの治験で期待されたほどの効果がなかったことや,どうやらGMDCは投与後にがん抗原を放出し,内因性の古典的樹状細胞(conventional DC,cDC)に手渡すことだけで効果を得ていると判明するに至り(Kleindienst P & Brocker T:J Immunol, 170:2817-2823, 2003),戦略の見直しが示唆されていた.

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DOI:10.18958/7131-00004-0000260-00

2022年9月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2022年9月号 Vol.40 No.14
代謝調節の立役者 分岐鎖アミノ酸
骨・骨格筋・脂肪組織の恒常性、がん進展を司るエネルギー源・シグナル分子としての新機能

伊藤貴浩/企画
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