精巣内の精子形成の後期(精子完成)に,化学や物理学で基本的な概念である「液―液相分離」が必要なことが報告された(Kang JY, et al:Science, 377:eabj6647, 2022).液―液相分離とは,水と油のように2つの液体が混ざらずに分離する現象である.細胞質中ではタンパク質や核酸が,水に油が浮かぶように細胞内で液滴を形成することで,因子を濃縮して反応を速めたり,不要な因子を締め出したりすることがわかってきた(「相分離 メカニズムと疾患」実験医学増刊号, Vol. 39 No. 10,2021).この液―液相分離の精子形成への関与を紹介する.
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DOI:10.18958/7189-00004-0000383-00