重要性が認識されやすく,かつ,技術的に調べやすいテーマは,研究が進みやすい.食行動研究においても,日常体験から重要性が自明な味覚刺激に関する研究は,過去20年間に大幅に進んだ.他方,食事の摂取後効果には,摂取後約30分で作用する飽満感による摂取抑制と,数時間後に作用して次回以降の摂取を調節する経験学習とがある.また,脳腸相関では,栄養情報が腸上皮細胞(以下EEC)により変換され,その情報を受容した求心性自律神経により中枢神経系へと情報が伝えられる.現象の複雑さに加えて,EECと自律神経の多様性が解明を難しくしてきた.
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DOI:10.18958/7189-00004-0000380-00