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複数標的薬開発の成功が意味するところ

京都大学大学院農学研究科 佐々木 努

数要因により調節される生命現象に対して効果的に介入するには,現象への寄与率の高い要因(群)を標的とする必要がある(図2).東洋医学では,複数要因に対してマイルドに働きかけて,総合的な効果を期待する.西洋医学では,「複数要因への作用=副作用が多い」と捉え,単一要因だけに強い作用を示す創薬を進め,薬剤の併用により複数標的に介入してきた.そして,「複数の分子標的に作用する単一物質の創薬」は “crazy” な概念とみなしてきた.しかし,生理活性物質は複数標的に作用し総合的な効果(生理作用)を発揮する(例:カテコラミンとα1-2,β1-3受容体).複数標的薬の開発が,可能かつ非常に効果的であることが,最近のTirzepatideを対象とした臨床研究において証明された.

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DOI:10.18958/7405-00004-0001121-00

2024年1月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2024年1月号 Vol.42 No.1
AI・シミュレーションによる科学的発見は可能か?
複雑な生命現象・疾患の未知なるメカニズムを解く

山本陽一朗/企画
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