細胞は,生存に必須な水,具体的には運動性の高い自由水を確保する必要があり,水の動きに影響する温度や浸透圧などの環境変化に秒単位で対処している.この水の制御がうまくいかないと急激な環境の変化により,細胞機能に支障をきたし生存を脅かすことになる.天然変性領域(intrinsically disordered region,IDR)をもつタンパク質は相分離により液滴を形成し非膜性のオルガネラをつくり,これが細胞内の生化学反応を担う水の容器となる.Watsonらは,細胞内での相分離による液滴形成が,細胞内の水の動きを制御し,環境変化に迅速に対応していることを示した(Watson JL, et al:Nature, 623:842-852, 2023).
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DOI:10.18958/7427-00004-0001362-00