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鏡越しに複製するRNA

早稲田大学理工学術院先進理工学部電気・情報生命工学科 水内 良

命はホモキラルな分子(片方の鏡像異性体)でできている.DNAやRNAはd-デオキシリボースとd-リボースを含み(本稿ではd-DNAやd-RNAとよぶ),タンパク質はl-アミノ酸からなる.d-DNAやd-RNAに保存された遺伝情報は,ワトソン-クリック型塩基対を形成する相補的なd-DNAやd-RNAに写し取られ,複製する.一方で,実験室のなかではそれらの鏡像異性体であるl-DNAやl-RNAもつくり出せる.しかし,一般的にd型とl型の核酸分子間に相補性はなく,これらの異性体間で,すなわち“鏡越し”に遺伝情報は複製できないと考えられていた.今回,この常識を打ち破るような,d-RNAとl-RNAが協働して複製する人工システムが開発された(Cochrane WG, et al:Proc Natl Acad Sci U S A, 121:e2413668121, 2024).

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DOI:10.18958/7683-00004-0001867-00

2025年3月号掲載(2/20更新)

本記事の掲載号

実験医学 2025年3月号 Vol.43 No.4
特集1:胎盤形成と母児連関 発達を運命づけるメカニズム/特集2:次世代のmRNA創薬へ いま知りたい基盤技術

有馬隆博,位髙啓史/編/企画
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