レジデントノート増刊 Vol.11

輸液療法パーフェクト

  • 飯野靖彦/編
  • 2009年03月25日発行
  • B5判
  • 253ページ
  • ISBN 978-4-7581-0483-8
  • 4,180(本体3,800円+税)
  • 在庫:なし
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序文  (一部抜粋)

 この度,『レジデントノート』誌に増刊号を創刊することとなった.(中略)
 今回,その第1弾として,輸液療法を採り上げた.輸液の重要性については今さら触れるまでもないであろう.しかし,施設によって考え方が大きく異なるなど,これまで十分な標準教育がされてきたとは言い難い点も多い.そこで,本書レジデントノート増刊『輸液療法パーフェクト』は学生・研修医さらには3年目以降の上級医や指導医を対象に輸液療法を理解しやすくするために企画された.


 本書の特徴は,症例から学ぶことを基本としている点である.われわれは病名のレッテルが貼られた患者さんを診るわけではない.症状をもった患者さんから体液・電解質異常を判断し,その原因を考え,輸液を行うのが日常診療の順序である.そこで本書では,このような実際の診療の順序に基づき,まず序章で典型的症例を呈示し,どのような知識が必要かを考える構成とした.(中略)


 第1章からは,輸液療法に必要な具体的な事項を解説している.輸液療法に必須となる基本的な考え方から,準備,一般的な注意点,病態ごとの実際まで,輸液療法に必要な事項を網羅したものとなっており,序章の症例に入らない病態についても,第5章の各種病態での輸液に症例をまじえて書いてある.
 執筆者も日本さらには世界でも輸液療法の第一人者と考えられている先生方であり,最新の知識をわかりやすく解説していただいた.新しい考え方で作られた本書がレジデントの皆さんに役立ち,ひいては患者さんの治療に貢献することを祈っている.

※本書の正誤表はこちらをご参照下さい.

レジデントノートに待望の増刊登場!第1号は輸液療法の実践テキスト決定版.基本的な考え方から病態別の輸液の実際,CSWSなど最近のトピックまで,症例を交えてわかりやすく解説します.研修医・若手医師必携!

目次

序章 症例から輸液の疑問に答える

Case 1 救急搬送症例【飯野靖彦】

Case 2 高齢栄養障害症例【飯野靖彦】

第1章 体液量と電解質濃度の調節を考える

1.体液量調節はどのように行われているか【竹本文美】

  • Basic Lecture
  • 1.体液の量,分布,特性
  • 2.体液量の調節の仕組み
  • Step Up Lecture

2.電解質濃度の調節はどのように行われているか【中野信行/柴垣有吾】

  • Basic Lecture
  • 1.In-Outバランス(Input=Output)
  • 2.電解質変動の感知・調節機構
  • Step Up Lecture
  • 1.水・Naと細胞外液量・細胞内液量の関係
  • 2.Na量(細胞外液量)・Na濃度(細胞内液量)の調節系
  • 3.Kの調節系

第2章 酸塩基平衡の調節を考える

1.酸塩基平衡の調節はどのように行われているか【野田裕美/佐々木成】

  • Basic Lecture
  • 1.酸塩基平衡の調節とその異常
  • 2.酸塩基平衡障害へのアプローチ
  • Step Up Lecture

2.血液ガスをどのように読むか【柏木哲也/飯野靖彦】

  • Basic Lecture
  • 1.血液ガスとは
  • 2.血液ガスの見方
  • Step Up Lecture
  • 1.血液ガス異常(酸塩基平衡異常)の基本形
  • 2.症例の場合

第3章 輸液治療の考え方

1.体液の分布,組成,その評価法【河原克雅/安岡有紀子/川田英明】

  • Basic Lecture
  • 1.体液区分と体液の分布
  • 2.体液の組成
  • Step Up Lecture
  • 1.輸液療法の評価法

2.輸液治療の適応 一般的な維持輸液の適応と基本【林 松彦】

  • Basic Lecture
  • はじめに
  • 1.維持電解質輸液の適応
  • 2.維持輸液の考え方
  • 3.維持輸液の実際
  • Step Up Lecture

3.輸液製剤の種類と特徴【西澤健司】

  • Basic Lecture
  • はじめに
  • 1.まず知っておくべきこと
  • 2.輸液製剤の種類と特徴
  • 3.その他
  • おわりに

4.経口電解質補給剤【谷田川聡也】

  • Basic Lecture
  • 1.電解質とその必要量
  • Step Up Lecture
  • 1.嘔吐,下痢,そして?
  • 2.点滴をする前に
  • 3.手軽にもうひと所見
  • 4.経口摂取は可能か?
  • 5.ORSの投与方法-根気とバリエーション
  • 6.家庭での治療に生かすために
  • 7.Kの補給は必要か?

5.輸液治療戦略の立て方【中山裕史/冨田公夫】

  • Basic Lecture
  • 1.体液の組成
  • 2.輸液剤の種類
  • Step Up Lecture
  • 1.疾患別輸液治療戦略の立て方
  • 2.症例で考える

第4章 輸液治療の準備と投与法

1.輸液準備・投与の基本(無菌操作)【柳原良次】

  • Basic Lecture
  • 1.輸液剤を準備する場所
  • 2.服装
  • 3.無菌操作
  • Step Up Lecture
  • 1.栄養輸液
  • 2.抗悪性腫瘍剤を含む輸液
  • まとめ

2.輸液ラインの選択と準備【安藤明利/八巻 学/石田和寛】

  • はじめに
  • Basic Lecture
  • 1.輸液セットの種類
  • 2.高カロリー輸液へのインラインフィルターの必要性
  • 3.輸液ラインの管理
  • Step Up Lecture
  • 1.輸液ラインの材質
  • 2.輸液ポンプ使用の注意
  • おわりに

3.輸液経路と穿刺法【井口成一/杉田 学】

  • Basic Lecture
  • 1.末梢静脈
  • 2.中心静脈
  • 3.PICC(peripherally inserted central catheter:末梢穿刺中心静脈カテーテル)
  • 4.骨髄輸液

4.輸液速度の選択と実際【安田宜成/三木祐介】

  • Basic Lecture
  • 1.輸液においては,まず第一に病態評価につとめる
  • 2.是正輸液の投与量
  • 3.維持輸液の投与量
  • 4.輸液速度は是正輸液と維持輸液により決定し,輸液開始後は体重,尿量,バイタルサインをモニターし,再評価する
  • Step Up Lecture

5.輸液療法での知っておくべき指標・検査【藤井正満】

  • Basic Lecture
  • はじめに
  • 1.脱水・脱塩の指標:尿Na・尿Cl濃度
  • 2.ARFでの腎前性の鑑別に用いる指標:FENa(fractional excretion of sodium)
  • 3.尿浸透圧・尿比重の臨床的意義:低ナトリウム血症での多飲による水中毒の鑑別
  • 4.尿pH:Cl反応性代謝性アルカローシスでの輸液効果の判定
  • Step Up Lecture
  • 1.脱水・脱塩の指標:代謝性アルカローシスでは尿中Clをみる
  • 2.どのような輸液製剤を選択するか?
  • 3.脱水・脱塩時に,いつまで積極的輸液を継続するか?

6.輸液治療における注射薬の配合禁忌と注意点【伊東明彦】

  • Basic Lecture
  • はじめに
  • 1.外観変化を生じる配合変化
  • 2.外観変化を生じない配合変化
  • 3.脂肪乳剤の配合変化

7.合併症への対応【内田啓子】

  • Basic Lecture
  • 1.輸液製剤・投与法による合併症
  • 2.輸液ルート確保時の合併症
  • 3.カテーテル留置後の合併症
  • Step Up Lecture
  • 1.このケースから学ぶこと

第5章 輸液治療の実際

Ⅰ よく出会う病態の輸液-電解質異常

1.低ナトリウム血症【奥田俊洋】
  • Basic Lecture
  • 1.低ナトリウム血症の病態生理
  • 2.低ナトリウム血症の鑑別診断
  • 3.輸液治療にあたり注意すべきポイント
  • 4.処方例 Step Up Lecture
2.高ナトリウム血症【堀野太郎/寺田典生】
  • Basic Lecture
  • 1.鑑別のポイント
  • 2.輸液治療にあたり注意すべきポイント
  • 3.処方例
  • Step Up Lecture
  • 1.特殊な症例
3.低カリウム血症・高カリウム血症【田部井薫】
  • 1.Kの代謝
  • [高カリウム血症]
  • Basic Lecture
  • 1.高カリウム血症とは
  • 2.高カリウム血症へのアプローチ
  • Step Up Lecture
  • [低カリウム血症]
  • Basic Lecture
  • 1.低カリウム血症とは
  • 2.低カリウム血症へのアプローチ
  • Step Up Lecture
  • おわりに
4.低カルシウム血症・高カルシウム血症【本田浩一/秋澤忠男】
  • [低カルシウム血症]
  • Basic Lecture
  • [高カルシウム血症]
  • Basic Lecture
  • Step Up Lecture
5.低リン血症・高リン血症【山内 淳】
  • [低リン血症]
  • Basic Lecture
  • 1.低リン血症の鑑別のポイント
  • 2.低リン血症の治療のポイント
  • Step Up Lecture
  • 1.診断のポイント
  • 2.治療中に出現した低リン血症
  • [高リン血症]
  • Basic Lecture
  • 1.高リン血症の鑑別のポイント
  • 2.高リン血症の治療のポイント
6.低マグネシウム血症・高マグネシウム血症【川村祐一郎/長谷部直幸】
  • Basic Lecture
  • 1.Mg濃度とその調節メカニズム
  • 2.Mg濃度異常の原因
  • 3.Mg濃度異常による症状
  • 4.Mg濃度異常のモニター
  • 5.治療
  • Step Up Lecture

Ⅱ よく出会う病態の輸液-疾患・外傷

1.心不全【須藤 博】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の前に考えるべき事項
  • 2.心不全への初期輸液
  • Step Up Lecture
  • 1.フロセミドによる利尿とその後の輸液
2.急性冠症候群【太田秀彰/高山守正】
  • はじめに
  • Basic Lecture
  • 1.超早期のST上昇型心筋梗塞
  • 2.急性増悪を示す狭心症
  • 3.血圧低下を伴う胸痛
3.慢性腎臓病【井関邦敏】
  • Basic Lecture
  • 1.慢性腎臓病の診断
  • 2.輸液におけるポイント
  • 3.輸液療法におけるCKDステージ診断の意義および問題点
4.慢性腎不全【北岡建樹】
  • Basic Lecture
  • 1.治療の前に考えること
  • 2.入院時の検査成績をチェックする
  • 3.検査成績を解釈する
  • 4.初期対応の治療の方針
  • 5.輸液治療のポイント
  • 6.輸液の処方例
  • 7.治療経過
  • 8.症例の解釈と保存期腎不全での注意
5.肝疾患【来見良誠/仲 成幸】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の前に考えること
  • 2.初期対応と輸液治療のポイント
  • Step Up Lecture
6.高血糖・低血糖【宇津 貴】
  • [高血糖]
  • Basic Lecture
  • 1.糖尿病ケトアシドーシスの治療
  • Step Up Lecture
  • 1.高血糖高浸透圧昏睡の治療
  • [低血糖]
7.がん【阪  眞】
  • Basic Lecture[消化管閉塞に対する輸液]
  • 1.輸液の前に考えるべき事項
  • 2.初期対応と輸液治療のポイント
  • 3.処方例
  • Step Up Lecture[終末期がん患者に対する輸液治療]
8.脳血管障害【三宅康史】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の前に考えるべき事項
  • 2.初期対応と輸液療法のポイント
  • 3.発症直後の処方例
  • 4.脳梗塞と脳出血の違い
  • 5.頭蓋内圧のコントロール
  • Step Up Lecture
  • 1.輸液の前に考えるべき事項
  • 2.初期対応と輸液療法のポイント
  • 3.急性期の処方例
  • 4.脳血管攣縮に対する輸液療法
9.呼吸器疾患【細野達也/坂東政司/杉山幸比古】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の前に考えるべき事項
  • 2.初期対応と輸液治療のポイント
  • Step Up Lecture
  • 1.気管支喘息発作
  • 2.市中肺炎
  • 3.呼吸不全
  • 4.急性肺損傷/急性呼吸促迫症候群
10.消化器疾患【山本和義/土岐祐一郎】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の前に考えるポイント
  • 2.初期対応と輸液治療のポイント
  • Step Up Lecture
  • 1.処方例
  • 2.MRSA腸炎
11.周術期【畑 啓昭】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の大原則
  • 2.周術期輸液の注意点
  • 3.処方指示例
  • Step Up Lecture
  • 1.ハイリスク症例での注意点
  • 2.周術期のin-out balance
  • 3.循環血漿量が足りているのに尿が少ない場合
  • 4.処方例
  • まとめ
12.小児(重症)【清水直樹】
  • Basic Lecture
  • Step Up Lecture
  • 1.“医原性低ナトリウム血症”の存在
  • 2.“医原性低ナトリウム血症”の発生背景
  • 3.“医原性低ナトリウム血症”の防止
  • 4.救急蘇生ガイドラインにおける輸液製剤選択の記述
  • まとめ
13.高齢者【渡邉 崇/栗山 哲】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の前に考えるべき事項
  • 2.初期対応と輸液治療のポイント
  • 3.処方例
  • Step Up Lecture
14.多発外傷【石川真士/横田裕行】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の前に考える事項
  • 2.初期対応と輸液治療のポイント
  • 3.処方例
  • Step Up Lecture
  • 1.輸液療法の注意点
15.熱傷【関谷恭介/山口芳裕】
  • Basic Lecture
  • 1.輸液の前に考えること
  • 2.輸液治療のポイント
  • 3.処方例
  • Step Up Lecture

第6章 栄養輸液

1.栄養輸液の適応と処方【巨島文子】

  • Basic Lecture
  • 1.栄養アセスメント
  • 2.栄養管理の治療方針
  • Step Up Lecture

2.栄養輸液の種類【早川麻理子】

  • Basic Lecture
  • 1.基本的な栄養組成
  • 2.エネルギー(非タンパク熱量)
  • 3.タンパク質
  • 4.電解質(ミネラル)
  • 5.微量栄養素
  • 6.高カロリー輸液用基本液,高カロリー輸液キット製品

3.静脈栄養と経腸栄養の実際【小山 諭/畠山勝義】

  • Basic Lecture
  • 1.静脈栄養(PN:parenteral nutrition)とは
  • 2.経腸栄養(EN:enteral nutrition)とは
  • 3.PNか,ENかの選択
  • Step Up Lecture

第7章 Advanced Lecture 専門医を悩ます輸液症例

Case 1 低ナトリウム血症-SIADHかCSWSか?【五十嵐隆】

  • はじめに
  • 1.脳性塩分喪失症候群(CSWS)の臨床的特徴
  • 2.CSWSによる低ナトリウム血症の発症機序
  • 3.SIADHとの鑑別が重要
  • 4.CSWSの治療

Case 2 心不全に合併した腎前性高窒素血症【藤垣嘉秀】

  • はじめに
  • 1.利尿薬使用時の急性腎不全の鑑別
  • 2.うっ血性心不全における利尿薬抵抗性の対処
  • 3.急性腎不全における腎血流量改善薬や利尿薬の是非
  • おわりに

索 引

書評・感想
  • 従来の本との違いは電解質異常の鑑別方法に病態生理,鑑別の仕方,tips,caseをあげているところと思います.研修医が実際に病棟で困っているケースに似ているので,読んだ次の日から使えます.難しい正書を読む時間はないが,この本なら読めます.(続木康伸 先生(手稲渓仁会病院 家庭医療センター 後期研修医))
  • 第5章の『輸液治療の実際は電解質補正の仕方に関してとても理解し易くまとめて あったと思います.表などは縮小コピーして手持ちのノートにまとめて日々使用しています.総論を色々と書いてある本は何冊か読んだ事はあるのですが,漠然とした内容しか書かれていなくて結局理解できず,なんとなく輸液の選択を行っていた事もありました.この本は総論から各論までコンパクトにまとめられていて実際の診療に役立てると思います.値段もそんなに高くないので個人的に1年目の研修医に薦めています.』(研修医)
  • いくつかの同様の雑誌やモノグラフがありますが,難解な計算式などが極力減らされて,具体的な症例で示されているのでわかりやすいと思います.また一方で少し専門的な論調も盛り込まれているのが,あまりに平易過ぎず良いと思いました.(研修指定病院 研修センター長)
  • 非常によくまとまっています.第7章の,SIADHかCSWSか,については,「やっと掲載してくれました!」という感嘆の思いです.現場ではよく遭遇する症候なのですが,知らない人が多い症候群です.日本の医学書にはほとんど掲載されていません.(家庭医)

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  • 【本書名】レジデントノート増刊:輸液療法パーフェクト
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