(前略)救急においては,緊急度の高い疾患をみつけだして治療方針を決定することが大切である.しかし,診断が未確定の腹痛症例をいわゆる胃腸炎として帰して,後に悪い疾患になって戻ってくる場合がある.実際,胃腸炎と診断して,患者が自宅で我慢して経過をみてしまい,虫垂炎の破裂で戻ってくる場合もある.このように,帰宅させるか,入院させるかの判断,disposition(患者処遇の決定)が,救急の場面では特に大切になってくる.(中略)発症直後で所見の出揃っていない状態の患者を診療する機会が,救急診療では多く,診断のつかない場合が多々ある.診断がつかなくてもdispositionは決定する必要があり,また診断がついても,経過や重症度が正確に評価できないときにも,dispositionは決定しなければならない.医師がdispositionを決定する際には,患者の病態,患者側の要素(希望,帰宅した場合の生活環境,薬剤服用に対する受け入れ,再診),医療機関側の要素(専門医の技量,病院の空床状況)など多くのことを考慮して,患者と医療者双方の見解が合致するという過程が必要とされる.「患者にとって最善のdisposition」を決定する能力は,臨床研修において獲得しなければならない能力の1つである.さいごに,腹痛は,本当にこわいものである.しかし,腹痛をきたす多くの疾患をどのように鑑別し,絞っていき,最終診断をくだすのか.また,さまざまな腹痛患者のdispositionをどのように決定していくかの思考過程を学ぶことが大切である.(後略)
(前略)救急においては,緊急度の高い疾患をみつけだして治療方針を決定することが大切である.しかし,診断が未確定の腹痛症例をいわゆる胃腸炎として帰して,後に悪い疾患になって戻ってくる場合がある.実際,胃腸炎と診断して,患者が自宅で我慢して経過をみてしまい,虫垂炎の破裂で戻ってくる場合もある.このように,帰宅させるか,入院させるかの判断,disposition(患者処遇の決定)が,救急の場面では特に大切になってくる.(中略)発症直後で所見の出揃っていない状態の患者を診療する機会が,救急診療では多く,診断のつかない場合が多々ある.診断がつかなくてもdispositionは決定する必要があり,また診断がついても,経過や重症度が正確に評価できないときにも,dispositionは決定しなければならない.医師がdispositionを決定する際には,患者の病態,患者側の要素(希望,帰宅した場合の生活環境,薬剤服用に対する受け入れ,再診),医療機関側の要素(専門医の技量,病院の空床状況)など多くのことを考慮して,患者と医療者双方の見解が合致するという過程が必要とされる.「患者にとって最善のdisposition」を決定する能力は,臨床研修において獲得しなければならない能力の1つである.
さいごに,腹痛は,本当にこわいものである.しかし,腹痛をきたす多くの疾患をどのように鑑別し,絞っていき,最終診断をくだすのか.また,さまざまな腹痛患者のdispositionをどのように決定していくかの思考過程を学ぶことが大切である.(後略)
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鑑別疾患が多く,帰宅させてよいかどうかの判断が難しい腹痛.「高齢者」「小児」「婦人科」など,さまざまな状況をとりあげ,緊急度の見極めと最善の対応を解説.重要疾患を見逃さず,腹痛診療に自信がもてる!
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