臨床研修は主に病棟や救急を中心に行われています．確かに，重症度の高い症例を効率よく経験できるという意味では有意義ですが，果たしてそれだけでいいのでしょうか？ 重症度や緊急度の高い症例を多数受け持ったら，軽症例や緊急度の低い症例が多い外来での診断・治療も自動的にできるようになるのでしょうか？ 病棟で受け持つ患者は，「誰かが入院適応と判断して入院させた症例」です．ほとんどの場合診断が確定していて，多くの場合治療方針も決まっています．例えば虫垂炎の手術目的で緊急入院した症例を受け持った場合，初診時の外来診療録を読んで腹痛の鑑別診断を勉強しようと思っても，すでに答えが出ているわけですから，犯人がわかってから推理小説を読むようなものです．病棟研修では初診時のわずかな情報から診断の鍵を探し出し，効率的な検査計画を立てて診断を絞り込んでいくプロセスを自分のものにすることはなかなか難しいでしょう． （中略） 「外来は，救急当直でたくさん経験しているから大丈夫！」と思っていませんか．確かに，緊急に対応が必要な救急疾患は十分経験できるかもしれません．でも，救急のトッププライオリティは救命であり，「明日までもつか」という判断が重視されます．したがって，緊急性がないと判断された場合，それ以降の精査・治療は日中の外来につなぐのが普通です．皆さんも，「少なくとも緊急に対応が必要な病気はないと思いますので，明日，内科を受診して詳しく調べてもらってください」と説明して帰宅させた経験はありませんか？ その場合，もしあなたがその患者さんを受けとる立場の翌日の外来担当医だったら，うまく対応できる自信はありますか？ （中略） 今回の特集では，外来診療をあまり経験したことのない研修医にとって，病棟や救急とはセッティングが異なる外来診療に必要なエッセンスは何か，そしてそれを修得するためには何が必要か，ということをわかりやすく示すことを目的としています．
臨床研修は主に病棟や救急を中心に行われています．確かに，重症度の高い症例を効率よく経験できるという意味では有意義ですが，果たしてそれだけでいいのでしょうか？ 重症度や緊急度の高い症例を多数受け持ったら，軽症例や緊急度の低い症例が多い外来での診断・治療も自動的にできるようになるのでしょうか？ 病棟で受け持つ患者は，「誰かが入院適応と判断して入院させた症例」です．ほとんどの場合診断が確定していて，多くの場合治療方針も決まっています．例えば虫垂炎の手術目的で緊急入院した症例を受け持った場合，初診時の外来診療録を読んで腹痛の鑑別診断を勉強しようと思っても，すでに答えが出ているわけですから，犯人がわかってから推理小説を読むようなものです．病棟研修では初診時のわずかな情報から診断の鍵を探し出し，効率的な検査計画を立てて診断を絞り込んでいくプロセスを自分のものにすることはなかなか難しいでしょう．
（中略）
「外来は，救急当直でたくさん経験しているから大丈夫！」と思っていませんか．確かに，緊急に対応が必要な救急疾患は十分経験できるかもしれません．でも，救急のトッププライオリティは救命であり，「明日までもつか」という判断が重視されます．したがって，緊急性がないと判断された場合，それ以降の精査・治療は日中の外来につなぐのが普通です．皆さんも，「少なくとも緊急に対応が必要な病気はないと思いますので，明日，内科を受診して詳しく調べてもらってください」と説明して帰宅させた経験はありませんか？ その場合，もしあなたがその患者さんを受けとる立場の翌日の外来担当医だったら，うまく対応できる自信はありますか？
今回の特集では，外来診療をあまり経験したことのない研修医にとって，病棟や救急とはセッティングが異なる外来診療に必要なエッセンスは何か，そしてそれを修得するためには何が必要か，ということをわかりやすく示すことを目的としています．
外来診療における，患者さんを総合的に診るためのコツを丁寧に解説します．効率的な病歴聴取・診断や慢性疾患管理，コミュニケーションなど病棟・救急とは異なるアプローチを身につけて，外来診療に自信がもてる！
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