予測とは,将来のことを前もって推し量ることです.まだ生じていないことを現時点の情報から推量するため,予測はしばしば不確実です. 医療の根底にはこの予測があります.医師は,病歴聴取と身体診察を通じて鑑別診断を予測します.検査や画像をオーダーし,まだ見ぬ結果を予測します.ひとたび診断が明らかになれば(時に診断が明らかでなくても),患者に必要な治療と治療可能性を予測し,そして患者の転帰を予測します.このような予測は,初診のときに,一度だけ行われるものではありません.医療においても予測は不確実で,しばしば間違います.間違うたびに予測は改められなければなりません.例えば,発熱している患者の診療では,病歴聴取と身体診察を通じて,患者のどの身体部位でどのような病原体によって感染が生じているのか,感染症は重症であるのか(敗血症かどうか)を予測します.肺炎を予測して,検査と画像をオーダーします.細菌性肺炎と診断した後で,抗菌薬投与が十分有効で,入院する必要はあるが死亡するリスクは低いだろうと予測します.ところが,入院治療を開始した後に実は肺炎ではなかった,感染症ですらなかったと判明すると,予測を最初からやり直すことになります.このように,患者の診断・治療・転帰の多くは未知か不確実なので,これを明らかにして介入していく診療は,絶え間ない予測から成り立っています. 続きを読む
予測とは,将来のことを前もって推し量ることです.まだ生じていないことを現時点の情報から推量するため,予測はしばしば不確実です.
医療の根底にはこの予測があります.医師は,病歴聴取と身体診察を通じて鑑別診断を予測します.検査や画像をオーダーし,まだ見ぬ結果を予測します.ひとたび診断が明らかになれば(時に診断が明らかでなくても),患者に必要な治療と治療可能性を予測し,そして患者の転帰を予測します.このような予測は,初診のときに,一度だけ行われるものではありません.医療においても予測は不確実で,しばしば間違います.間違うたびに予測は改められなければなりません.例えば,発熱している患者の診療では,病歴聴取と身体診察を通じて,患者のどの身体部位でどのような病原体によって感染が生じているのか,感染症は重症であるのか(敗血症かどうか)を予測します.肺炎を予測して,検査と画像をオーダーします.細菌性肺炎と診断した後で,抗菌薬投与が十分有効で,入院する必要はあるが死亡するリスクは低いだろうと予測します.ところが,入院治療を開始した後に実は肺炎ではなかった,感染症ですらなかったと判明すると,予測を最初からやり直すことになります.このように,患者の診断・治療・転帰の多くは未知か不確実なので,これを明らかにして介入していく診療は,絶え間ない予測から成り立っています.
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