Dr.岩田健太郎のスーパー指導術〜劇的に効果が出る“教えるコツ”“教わるコツ”
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Dr.岩田健太郎のスーパー指導術

劇的に効果が出る“教えるコツ”“教わるコツ”

  • 岩田健太郎/著
  • 2012年08月28日発行
  • A5判
  • 206ページ
  • ISBN 978-4-7581-1725-8
  • 3,630(本体3,300円+税)
  • 在庫:なし
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もっと楽しく効果的に研修医指導を行うためのコツが一冊に!研修医に伝わる怒り方,個性に合わせた接し方,カンファレンスを刺激的にするコツなど,今日から実践できる指導術が満載!豊富なイラストが楽しくリアル!

目次

Part1 いつもやっている(クリシェ)にはご用心!

1 チェックしといた?症候群

  • 「チェックしといた?症候群」! 情報の欠如を気にしない、気にさせない
  • 教える側も、教わる側もともにコミットしなければよくならない
  • 「チェックしといた?症候群」研修医のとるべき対応
  • 「チェックしといた?症候群」指導医のとるべき対応
Column “テーブル回診”をやってみよう!

2 怒鳴るのは、悪か? 怒るのは、悪か?①

  • 怒ること、褒めること…サンドイッチ法の限界
  • 叱りは、虐待か?
  • タイミングが大事、コンテクストが大事

3 怒鳴るのは、悪か? 怒るのは、悪か?②~叱るスキル、怒るスキル~

  • 体育会系キャラには、からっと叱ろう
  • キャバクラの視点を
  • マイクロスキルを、活用しよう
  • 怒るときには覚悟を

Part2 個性に合った指導のススメ

4 キャラに合わせて

  • 代表的なキャラの特徴を知ろう
  • あなた自身のキャラも知っておこう

5 ペーシングの実践を!

  • わりと定型的な、アメリカの指導医
  • ペーシングとは

6 突っ込みの文化を

  • 問題点が、見えない!
  • 突っ込みのスキルを磨け!
  • 突っ込みもキャラに合わせて

7 メタ・モデルを活用しよう

  • 論よりハリソン
  • メタ・モデル入門
  • メタ・モデルでどう突っ込むか

8 言いがかりをつける研修医

  • 問題ある研修医を見過ごすな
  • 言いがかりへの対処のしかた

9 例外事象と一般事項のすり替え

  • 成功体験のエピソードにはご用心
  • 『いいところはある』にご用心
  • テーブル回診では…

Part3 アウトカムを出すためのタイムマネジメント術

10 タイムマネジメント ~岩田の2カ月のルールのすすめ~

  • アウトカム志向で24時間を有効に使え
  • 岩田の2カ月のルールとは

11 屋根瓦の話

  • 屋根瓦方式とは、何か
  • 屋根瓦方式の欠点
  • チーム医療、チームワークなしに屋根瓦は語れない
  • 勝者には何もやるな

Part4 レクチャーを極める!

12 レクチャーはオリジナルでなければ意味がない

  • アメリカ人はレクチャー上手?
  • なぜレクチャーは有効な教育方法と呼べないと言われるのか
  • レクチャーはオリジナルでなければならない
  • オリジナルなレクチャーの方法
  • レクチャー以外からも、学ぼう
  • レクチャーにまつわる、Q&A

13 レクチャーにコミュニケーションは不要か?

  • ハンドアウトとスライド~読めばおわりのレクチャーはNG
  • レクチャーでも、対話をしよう
  • レクチャーにまつわる、Q&A

14 考えさせ、考えさせられるレクチャーを!

  • レクチャーで、聴衆に質問すること
  • フィードバックをもらおう
  • レクチャーにまつわる、Q&A

Part5 カイゼンカンファのススメ

15 「カイゼン」って何?

  • morbidity and mortality conferenceから始まった
  • 本当に日本の風土にM&Mは合わないのだろうか
  • カイゼン=改善の意味するもの

16 問題点をわからせる

  • まずはテーマを
  • わかることとは、何か

17 明日につながる改善策を

  • 可能性を模索する
  • 利点、欠点の検証を
  • トラブルの後は

Part2 個性に合った指導のススメより抜粋

突っ込みのスキルを磨け!

このように、教育と診療は車軸の両輪のようなところがある。よりよい診療はよりよい教育のヒントや糧となり、その逆もまた真である。研修医が自分で問題点を掘り起こせるよう、それを促すのも研修医教育の大きな仕事である。そこで、大事なのは「突っ込みのスキル」である。突っ込みのスキルで質問力を形成するのである。

いったい、どういうことか?

「突っ込みのスキル」で質問をして自分の頭で考えさせる例

というふうに対話のなかでどんどん突っ込んでいく。「なぜ」「どうして」という質問を連打し、問題点を掘り起こすデモンストレーションを行う。こうした会話のなかから、例えば「高齢というだけでは貧血にはならない」「鉄欠乏性貧血に鉄剤を出すだけで終わってはいけない」というような箴言をじわりと醸し出すことができる。もちろん、「高齢というだけでは貧血にはならない」「鉄欠乏性貧血に鉄剤を出すだけで終わってはいけない」という言葉を「パール」として教えてやってもよい。でも、そういうフィーディングだけでは記憶に残りにくい。質問を投げかけ、自分の頭で考えさせると効果は倍増する。

もうひとつ、突っ込みの際に大切なことがある。それは、常に「裏のシナリオ」を考えることである。

キーワードは、「そうでないとしたら?」である。

上の例でも、慢性炎症に伴う貧血だけでないとしたら?という質問が、さらなる深い議論の呼び水となる。突っ込みは、研修医に自らの頭を使って考えろ、という誘いかけなのである。

Dr岩田のココがポイント

ほとんどの研修医が問題点を掘り起こすような頭の使い方をしたことがないから、テーブル回診でいきなりこれをやるのは、苦痛である。産みの苦しみなので、何とかここをがんばって持ちこたえる必要がある。バカの一念岩をも通す。繰り返し毎日やっていると、数週間で「考える」頭の萌芽が現れる。本当は学生のうちから、できれば小学生くらいからこういうトレーニングで鍛えておくべきなのだが、泣き言を言ってもしようがない。

さて、突っ込みを入れる。

Dr.岩田健太郎のスーパー指導術 立ち読み

「……」と研修医が即答できないとき、あまり長く引っ張るのは禁物である。長い沈黙は人を追い詰める、拷問だからである。嘘だと思ったら、試しに今度やってみてください。苦痛ですよ。

研修医が即答できないときは、即座に解答を与えてもいいし、他の研修医に振ってもいい。1 年目から2 年目、3 年目というふうに下から上に聞いていくのが基本である。どんどんテンポよく振っていく。振ることによってリズムが変わる(1人だけ責められている感じが薄れる)し、「おれも当てられるかも」という緊張感で眠気は薄まる。みんなで1つの問題に取り組んでいるので、チームとしての一体感も高まるかもしれない。

Dr岩田のココがポイント

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