「少数性生物学」という文字を見て多くの研究者の頭に浮かぶのは「?」であろう.少数性生物学が学問分野として成立しているわけではなく,したがって生化学などのように人口に膾炙していないから無理もない.そもそも少数性生物学は「一体,細胞のなかで発現している生体分子の数は何個あるのだろう?」という素朴な疑問に端を発している.このわかっていそうでわかっていない疑問をもとに細胞を眺め直すと,1つの細胞のなかに遺伝子は通常は2コピー(分子)しかないことや,数個しか発現していないタンパク質が大きな役割を担っていたりする場合があることなどに改めて気が付く.一方,生化学で扱う反応はアボガドロ数(1023個)という無限数を前提とする濃度概念に立脚しており,その概念を用いて遺伝子の発現を含む多くの生理反応が説明されている.無限の数を扱う理論で指折り数えきれる数の要素によって生じる現象を説明できるのであろうか? この前提条件の大きな溝を埋める研究をすれば,もしかしたら生命の動作原理の理解に迫れるのではないか? そのような疑問にこたえるべく,本特集では,少数の要素によって引き起こされる生命現象にアプローチすることの科学的意義や,少数性を暴く技術,そして少数性が統べる生理現象を紹介し,今後の発展やその先にある将来像を探る.
「生命らしさ」の鍵は、マイノリティ因子の振る舞いにあり。ウイルスは何個で感染できるか?細胞間のシグナルはどう伝達されるのか?今もっとも「おもろい」生物学を紹介!
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