レジデントノートインタビューコーナー『あの先生に会いたい!』では,さまざまなフィールドでご活躍中の先生に,医師として歩んでこられた道のりや,現在,そして将来のこと,さらに私生活とのバランスの取り方などについて語っていただきます.また番外編では,本誌に収まりきらなかった内容をホームページ限定で紹介していきます.
平林先生:先生はいつも“愛”が大事だとおっしゃっていて,確かに同じ医療をしていても,愛のあるなしで医者も患者さんも満足度が違うと思うのですが,どうしたら愛のある医療ができるようになるのでしょうか?
林先生:1つアイデアがあるんですよ.診療所に行くというのは,1つのアイデアだと思います.というのは,世の中には大病院志向というのが,どうしてもあるのですよね.どんなに駄目な医者がいようが,病院のネームバリュー,あるいは入院施設とか,いろいろな検査の施設があるだけということを,世の中の人は知らなくて来てしまって….開業医さんの方が優秀ってことがあるのですけど,そういうところが見えていません.僕らが病院にいても自分が病気になったとき,この先生には診てもらいたいけど,この先生は絶対ごめんだというのがありますけど,それが一般の人には見えなかったりします.
逆に診療所というのはネームバリューではなくて個人の能力だけになってきますので,それこそ個人の能力が高い人もいるし,口八丁だけで生きていく人もいるだろうし,それらのバランスが必要になってきますので,診療所で1年とか2年働いてみるというのは,実はすごく良いトレーニングになると思います.それに僕は1人でやるのが好きなんですよね.上からうるさい先生がいない方が絶対自分は出せるんですよ.結構な方が,指導医がいないと嫌だと言うのですけど,1人で行って羽を伸ばせて,うるさい先生がいないことが,どれだけ天国か,みんな知らないだけなんですよ.結構みんな怖がっているのですけど,自分のもてる範囲がきちんとわかっていればそんなことないですよね.今,当院の家庭医療コースに,1人診療所でやっている後期研修医がいるのですが,彼はここにいたときも元気でしたけど,診療所に行ったら水を得た魚のようになりましたね.肥満教室を開いたり好き放題やっています.加えていろんなところで教育もして.ついでに,挨拶は常に町長さんの次で,なんか挨拶うまくなってしまいましたとか.それに当院の後期研修医はプレゼンテーションの練習もするので,いかに楽しいプレゼンテーションをするかにも,随分気合いが入っていますね.
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