今期学会インタレストグループ集合写真.
PCFMネット(プライマリケア・家庭医療の見学実習・研修を受け入れる診療所医師のネットワーク)のメンバーは,通常はメーリングリストで連絡を取り合っていますが,年に1回は実際に集まってミーティングを開き意見交換を行っています.現在は,日本プライマリ・ケア連合学会学術大会にて,日曜日の早朝,インタレストグループの1つとして開催されています.
司会は,学生時代にPCFMネットを通じて診療所実習を経験し,現在は指導側として診療所実習にかかわっている卒後10年目前後の先生方にお願いしています.メンバー同士が実際に顔を合わせる機会は少ないため,20名前後の参加者全員の近況報告からはじまり,各施設の実習・研修受け入れ状況などが報告されます.なお,近年ではカリキュラムによる診療所実習,初期臨床研修の地域医療研修が多くなったためか,PCFMネットのホームページを通じての個人的な申し込みによる実習自体はどの施設でも少なくなっています.
今年のミーティングで最も話し合われたのはIPE(interprofessional education,多職種連携教育)でした.学生グループの勉強会でも,医学生だけでなく多職種学生で行われることが増えていることが影響していると思われます.学生を実習に送り込む大学教員側からもIPEを強調していました.
PCFMネットにおいてもいくつかの施設では,医師・医学生だけでなく,歯科医師・看護学生・薬学生・薬剤師・理学療法士など,多職種の実習が増えています〔第7回「医療系学生からさらに拡がる診療所実習」(本誌2015年10月号掲載)参照〕.中学生の見学を受け入れている施設もありました.
ミーティングではPCFMネットの周知,広報についても話し合われます.ここ数年は,日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会の「ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト」との協力を模索しています.このプロジェクトは,全80大学医学部における家庭医についての勉強会の開催を通じて「家庭医,病院総合医,プライマリ・ケア医と将来の医療を担う学生との接点を増やすこと」を目的に行われています.「学生に診療所へ来て,家庭医を見てほしい」というPCFMネットとは,違う立場から同じ目的で活動していると言えます.ですので,80大学行脚プロジェクトでは,最後に家庭医の現場を見に行く手段として,PCFMネットを紹介しています.PCFMネットからもこのプロジェクトの勉強会に講師を派遣するなどして全面的に協力しようと話し合われました.
そのほか,指導医の指導能力を高めるためにFD(ファカルティ・ディベロップメント)ミーティングの開催が相談されました.2014年には「やる気がないように見える実習者」にどう指導したらよいかが話し合われました〔第4回「診療所教育のFD」(本誌2015年2月号掲載)参照〕.
診療所の指導医がどんなことを話し合っているのか,興味がある方は,学術集会の際にインタレストグループをのぞいてみてはいかがでしょうか? 初期研修医や学生の立場からのご意見をお聞きできることは,私たちにとっても大歓迎です.一緒に診療所での学びをよくしていきましょう.