WONCA(世界家庭医療学会)世界大会 in プラハ 若手家庭医レポート 今藤誠俊(医療福祉生協連 家庭医療学レジデンシー・東京/根津診療所) レジデントノート2013年11月号掲載 所属はレジデントノート掲載当時のものです [SHARE] ツイート 2013年6月25〜29日,チェコ・プラハにて第20回WONCA〔World Organization of Family Doctors(世界家庭医療学会)〕世界大会が開催された.今回は盛大に開催された本会を一参加者として過ごした若手家庭医の視点より,本会の模様と所感をレポートする. 未来への“希望”として注目されるプライマリ・ケアと家庭医療 開幕式で世界保健機関のMargaret Chan事務局長によるスピーチがあり,「プライマリケアは未来におけるわれわれの最大の希望であり,家庭医は未来におけるわれわれの新星である」というメッセージに,プライマリ・ケアと家庭医療に携わるうえで大変勇気づけられた.また,「人々は人体のパーツの寄せ集めとして治療されることを望んでいない.彼らは社会的にもスピリチュアルにも生きている人として扱われることを望んでいる」とも語っており,患者を総合的に治療・ケアする重要性を再認識した. 若手家庭医の非常に活発な活動が目立つ学会 世界中の家庭医から多数の口頭発表やワークショップが行われたが,特にヨーロッパの若手家庭医グループが企画したワークショップはグローバル医療,僻地医療,パートナーシップ,研究,論文,SNS(Social Networking Service)などのさまざまな内容が含まれており,ユニークで興味深かった.ヨーロッパの若手家庭医グループは学会内外による基金を利用しながら教育・留学・研究などのチームを組織している.さらに,優秀な研究・留学に対する賞を独自で設け,研究ならびにSNSを重視するなど,活発な活動が印象的だった. WONCAと家庭医に広がる未来 世界中の若手家庭医と交流しました!(筆者最前列右から2人目) 学会期間中に「世界の若手家庭医交換留学プロジェクト」がヨーロッパの若手家庭医グループから提案され,今後継続して進めていく方向となった.また,日本のメンバーがオーストラリアやマレーシアのメンバーと意見交換し,WONCAアジア太平洋地区大会での若手家庭医の交流事業に日本も参加していく計画を進めることになった. 次回のWONCA世界大会は2016年にブラジルのリオデジャネイロで行われる.日本では2017年から総合診療科が19番目の基本診療領域となることもあり,総合診療の大きな転換が予想される.WONCA前会長のRichard Robert医師が最終講演で語った「家庭医は世界を変えることができる!」という言葉を胸に,3年後のWONCA世界大会ではどのように変化が起きているのか,楽しみでならない.