RNA顆粒が細胞内で機能するための構造的特性

RNA顆粒は，細胞質で生じる膜のない顆粒状の構造体で，多数のRNA結合タンパク質とRNAが凝集してできている．近年，RNA結合タンパク質のLC配列の液-液相分離による液滴形成が，RNA顆粒の形成機構として提唱され，生命科学の一流雑誌を賑わしている．しかし，最近，実際の細胞内のRNA顆粒は，試験管内の均質で液体状の液滴とは異なり，不均質な構造をもっていることがわかってきた．さらに，われわれの最新の研究からは，相分離だけでは細胞内の機能には不十分なことも明らかになった．じつは，相転移によるゲル化が重要だったのである．