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X線とクライオ電顕で微小管モーターの動きに迫る

X-ray and cryo-EM visualize the motility of microtubule-based motors
仁田 亮
Ryo Nitta:Division of Structural Medicine and Anatomy, Kobe University Graduate School of Medicine(神戸大学大学院医学研究科生体構造解剖学分野)
10.18958/5607-00001-0001523-00

分子モーターキネシンは,細胞骨格である微小管上を能動的に動き,細胞内物質輸送を司る.われわれはX線結晶解析法およびクライオ電子顕微鏡法を併用し,その分子機構解明をめざして来た.これら構造生物学的手法は,試料を急速凍結することにより時間を止め,高分解能立体構造,つまり精密な「静止画」を得ることが可能である.われわれは,この静止画のコマ数を増やして行くことにより,連続写真のようなナノモーターの精密な「動画」を捉えることに成功した.それによりキネシンは分子のゆらぎを巧みに利用し,ブラウン・ラチェット機構により確率的に前進するモデルを示した.

キネシン,微小管,クライオ電子顕微鏡,X線結晶構造解析

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