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ここまできた次世代抗体薬物複合体(ADC)の創製と開発

The latest research and development of the next generation antibody-drug conjugate
中田 隆,阿部有生,我妻利紀
Takashi Nakada/Yuki Abe/Toshinori Agatsuma:DAIICHI SANKYO CO., LTD., Biologics & Immuno-Oncology Laboratories(第一三共株式会社 バイオ・癌免疫ラボラトリー)
10.18958/5653-00001-0001547-00

抗体薬物複合体(ADC)は,選択的にがん細胞を死滅させるとともに,全身毒性の軽減も期待できる次世代抗体医薬品である.しかしながら,ADC技術開発にはいまだ改良の余地が多く残されている.われわれはADC薬物リンカー技術の構築を進め,抗HER2抗体にDNAトポイソメラーゼⅠ阻害剤を薬物部分に適用したDS-8201aを創製した.DS-8201aは,既存の抗HER2治療薬では効果が認められなかったHER2低発現乳がんモデルに対しても強力な抗腫瘍効果が観察された.この結果は,DS-8201aがHER2陽性がん患者の未充足ニーズを満たす医薬品となる可能性を示すとともに,本薬物リンカー技術の有用性を示唆するものと思われる.

ADC,Topo1,エキサテカン,HER2,バイスタンダー効果

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