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ヒドラが解き明かす睡眠の進化的起源

Hydra unravels the evolutionary origin of sleep
金谷啓之,伊藤太一
Hiroyuki J. Kanaya1)/Taichi Q. Itoh2):Department of Systems Pharmacology, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo1)/Faculty of Arts and Science, Kyushu University2)(東京大学大学院医学系研究科システムズ薬理学教室1)/九州大学基幹教育院2)
110.18958/7031-00001-0000177-00

睡眠は動物において普遍的にみられる現象である.哺乳類はもちろんのこと,ショウジョウバエや線虫も睡眠をとる.近年の研究により,睡眠の起源は中枢神経系をもたない刺胞動物まで遡ることが明らかになった.われわれは,刺胞動物の一種であるヒドラをモデルに据え,睡眠の進化的起源を探る研究を展開している.ヒドラには,可逆的な行動静止,反応性の低下,睡眠恒常性を伴った睡眠様状態が存在し,さらにはその制御因子が他の生物と共通していることがわかった.ヒドラを用いた睡眠研究は,「生物はなぜ眠るのか」という問いに答える一助となるだろう.

睡眠,進化的起源,刺胞動物,ヒドラ

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