研究者必携の大ベストセラー!!改訂に際して“実際の申請書例”を丸々1本追加し,最新情報に更新.申請書の書き方を中心に,科研費の応募から採択・不採択後まで,気をつけるべきポイントやノウハウを徹底解説!
本書の元になった実験医学誌連載「科研費獲得の方法とコツ」
第3回 さあ,書きはじめよう!(実験医学2009年9月号)より抜粋
ともかく,前述の通り審査の時間に制限がある(※編集部注:1人の審査員が100課題くらいの申請書を相手にしなければならないので,どうしても1つの申請書をチェックする時間は限られる)以上,申請書の最初のページ「研究目的」の部分がすべてを決めるので,この部分を全力で書くこと.しかも1ページ目の,最初の数行orパラグラフで決まると言ってもいいだろう.最初の部分で,何を研究するのかを審査員に十分に理解させ,その後の部分を読んでもらえるようにしなければならない.
そのためには,最初に研究目的や研究項目を箇条書きなどで簡潔に書いておくことをお勧めする.最初に全体の構想や内容のサマリーを書いておくと断然審査員に理解してもらいやすい.冒頭にサマリーがあるかないかは,審査員が目的地までの地図を与えられて車を運転するか,地図なしで知らない土地を運転するか,ぐらいの違いがある (図1).
実は平成20年度の申請書から研究目的の欄は次のようになっている.
「本欄には,研究の全体構想及びその中での本研究の具体的な目的について,冒頭にその要旨を記述した上で,適宜文献を引用しつつ記述し,特に次の点については,焦点を絞り,具体的かつ明確に記述してください……」
読んでおわかりの通り,「冒頭にその要旨を記述」とちゃんと書いてある.でも意外に申請書の記述を読んでいないのか,あっさりと本文から開始している申請書がまだまだ多い.
申請書の研究目的は「(1)研究の学術的背景,(2)どこまで明らかにするのか,(3)特色・独創的な点,について具体的かつ明確に記述してください」となっているが,必ずしもこの順番に書いていく必要はない.(1)〜(3)の項目は,この順番に書けという絶対的な規則ではない.したがって,読む人が,最も理解しやすいように,ときには記載項目の順番を考えて書くべきだ.特に(1)の学術的背景を最初に長々と書いて,肝心の申請者の研究内容になかなかたどり着けないということは避けよう.
そのためには何度も言うように,最初に申請書の研究目的や研究する項目を箇条書きで書いておくことをお勧めする.そうすると,審査員にどのような研究を行うのかを冒頭ではっきりと印象づけることができて,それ以降の内容も理解してもらいやすくなり,効果的だと思う.
ともかく,これに尽きる.審査員はこの申請内容については予備知識もなにもなく,まったく知らないと思うこと.「わかりやすく」という表現自体抽象的でわかりにくいが,私が考える「わかりやすく」のレベルはというと,
などというくらいがちょうどいい.
すでに発表済みの研究結果だけでなく,未発表の予備実験のデータ(もちろん研究計画がうまく行くことを示すデータ)を入れておくといい.こうすると,研究が進んでいて,興味深い実験データが出ているという印象を与えて,研究計画に説得力が増す.ただし,もちろん未発表データだらけでは逆効果の場合もあるのでご注意を.
研究計画や予備データを説明する図を入れると非常にわかりやすい.ただし,複雑な図はだめで,一目で理解できる簡単なオリジナルな図にすること.他人の論文や総説から取ってきた図は使わない方がいい.あくまでオリジナルで(図2).
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(2021年8月23日)
平成27年度科研費の申請書において,研究業績の記入に関して重要な変更があった.これまでは最近5カ年間の研究業績しか記入できなかったのが,それ以前のものも記入できるようになったのだ.このことは公募要領のほうには書かれておらず,申請書の研究業績の欄だけに次のように書かれている.
「研究業績については,主に2010年以降の業績を中心に記入してください.それ以前の業績であっても本研究に深くかかわるものや今までに発表した主要な論文等(10件以内)を記入しても構いません.」
つまり2010年以降の業績を中心に記入するが,それ以前の研究計画に関連した業績でも,関連がない論文でも,記入できるということだ.このような重要な変更が,公募要領には書かれておらず,申請書の説明欄にだけに書かれているのは不思議である.しかし,これまでの自分の研究成果を十分にアピールできるので望ましい変更だと思う.
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