不定詞,動名詞,分詞は,他の品詞と比べて使い方が難しい.そこで今回は,これらの使い分けについてまとめてみる.
to不定詞の用法には,名詞的用法,形容詞的用法,副詞的用法の3種類がある.以下,それぞれの用法について述べるが,これら3種類の区別が分かっていれば使い方にそれほど迷うことはないだろう.
不定詞の名詞的用法は名詞句を作るために使われる.名詞句は名詞相当語句として働き,論文では補語(例文30)や目的語(例文31)として用いられることが多い.
The aim of the current study was to examine the role of loud noise in acoustic neuroma etiology.
(現在の研究の目的は,聴神経腫瘍の病因における騒々しい雑音の役割を調べることであった)
We sought to determine the effect of G protein-coupled receptor kinase on bone formation in vivo.
(我々は,生体内での骨形成に対するGタンパク質共役型受容体キナーゼの効果を決定しようとした)
to不定詞を目的語とする他動詞には,seek, attempt, tryなどがあるが種類はあまり多くない.
<例文30>と<例文31>のような補語と目的語の違いについては,それほど気にする必要はないだろう.自動詞の後に来れば補語であり,他動詞の後に来れば目的語であるというだけのことだ.論文でよく使われる自動詞については,既に<第2文型(S+V+C)と第3文型(S+V+O)は英語の基本形>で述べた.たとえ区別がうまく説明できなくても,個々の動詞の使い方さえ分かっていれば大丈夫だ.
to不定詞の形容詞的用法は形容詞句を作るために使われる.名詞の後に置かれ,名詞を後ろから修飾する(例文32).
Bacteria differ from fungi in the lack of ability to reproduce sexually or asexually.
(細菌は,有性的あるいは無性的に生殖する能力の欠如という点で真菌と異なる)
to不定詞を後ろに伴う名詞としては,ability, approach, method, capacity, potential, system, modelなどがあるので覚えておこう.
to不定詞の副詞的用法は,副詞句を作って文全体や形容詞あるいは動詞を修飾するために用いられる.これらの分類はやや分かりにくいが,まずは文全体を修飾するto不定詞に注目しよう.他は,修飾する個々の形容詞や動詞とセットで使い方を考えるようにするとよい.
to不定詞の副詞的用法は,目的,結果,原因,理由などを表すが,目的の場合が圧倒的に多い(例文33).通常は,イントロとして文頭に置かれる.
To investigate this possibility, we assessed the roles of two other proteins important for cell elongation.
(この可能性を精査するために,我々は細胞伸長にとって重要である2つの他のタンパク質の役割を評価した)
to不定詞を後ろに伴う形容詞には,sufficient(例文34), likely, able, unableなどがある.
These cells are sufficient to alter neural activity in regions involved in autonomic and neuroendocrine control.
(これらの細胞が自律神経性および神経内分泌性制御に関与する領域における神経活動を変えるのに十分である)
動詞を修飾するto不定詞の例としては,be used to do(例文35), be required to doなどがあり,目的の意味で用いることが多い.
This novel approach can be used to assess quantitatively the effects of therapeutic interventions for treating liver failure.
(この新規のアプローチは,肝不全を治療することに対する治療介入の効果を定量的に評価するために使われうる)
このようなものの他に,文法上の解釈が難しい自動詞+to doや受動態+to doの用法もある.これらについては次項で述べる.
自動詞+to doやbe動詞+過去分詞+to doのパターンで,「~すると」の意味のto不定詞は文法的な解釈が難しい.to不定詞を作る動詞がbe動詞,つまりto doのところがto beであればそれは補語である(第3回の<例文21>).to be以外は補語と考えるか副詞句と考えるか意見が分かれる.しかし,文法的解釈はどちらでもよいだろう.それよりもbe動詞+過去分詞+to doなどの全体を一つの動詞として考えて使う方が簡単である(例文36).つまり下の例の場合は,is predicted to encodeをまとめて一つの他動詞のように考え,第3文型と同等に扱うとわけである.
The gene is predicted to encode an integral membrane protein.
(その遺伝子は,内在性膜タンパク質をコードすると予測される)
このような動詞の例としては,appear to do, be shown to do, be found to do, be thought to do, be proposed to do, be predicted to doなどがある.
<ここがポイント>
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