自在に遺伝子を改変できるCRISPR/Cas9などのゲノム編集技術はすでに,米国や中国でエイズやがんの治療法に向けて17の臨床試験が進行中だ.一方,CRISPR/Cas9はヒト受精卵の遺伝子変異修復に向けた基礎研究(子宮移植は行わず,試験管内のみの実験)に使われ,中国から3つの論文が発表されたが,拙速な生殖利用での重大事故やデザイナーベビーのような乱用が危惧されている.
ゲノム編集医療の開発が世界で急速に進む状況を受け,平成29年4月12日,厚生労働省で専門家会合が開催され,「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」(以下,遺伝子治療指針)の見直しがはじまった.早ければ年内に改正となるかもしれない.ゲノム編集医療の規制を巡る論点は何か.
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