タンパク質はフォールディングの前後でさまざまな修飾を受けるが,そうした修飾のなかで最も有名なものの一つがシステイン(Cys)間にかかるジスルフィド結合(S-S結合)である.2残基のCysが近傍に存在していると,酸化環境下ではS-S結合が形成され,還元環境ではこの結合が切断される.この結合はタンパク質の構造安定化や活性制御などさまざまな役割をもち,代表的なタンパク質内共有結合として古くから知られている.そうした状況下で今回Wensienらは,S-S結合に代わる新たなタンパク質内共有結合として,リジン(Lys)残基とCys残基が酸素原子を介して共有結合する「N-O-S結合」を報告した(Wensien M, et al:Nature, 593:460-464, 2021).
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